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【レポート】2017年CES報告会 | HTC Nippon VIVE事業責任者:西川美優氏が語った。HTC社およびVR業界の今後

2017年1月24日Tokyo VR Meetup #13 CES報告会が開催されました。会場はデジタルハリウッド大学大学院。PANORA・広田氏が司会を務め、HTC VIVE Director, Sales Opration・西川美優氏、ITジャーナリスト・西田宗千佳氏、MoguraVR・久保田瞬(すんくぼ)氏を迎えるという豪華な顔ぶれで会がスタート。

聞くところによると、今年のCESは、IoT、AI、VR製品が中心に出展されていたそうですが、総じてフランス製の製品が注目を集めていたとのこと。電波から股間を守る「スマートパンツ」やオルゴール型のピクセルアート「ラブボックス」など、個性的な製品が会場を沸かせていたそうです。

今回VRTECHでは、CES報告会の中でも、VR関連製品にフォーカスを当てて紹介。HTC Nippon VIVE事業責任者である西川さんが直接語るHTC社の展望と今後の日本VR業界についても必見です。

注目のVR製品を続々紹介!

Vive Tracker

出典:Vive Tracker

HTC社の製品については、日本のHTC VIVE事業責任者である西川さんが、直々に紹介。

こちらのVive Trackerはかなり革新的。Vive Trackerの登場により、なんと、現実世界のモノをVR空間に取り込めるようになったのです。従来のVRは、現実世界にVR空間を作り出す技術に止まっていましたが、当製品を使えば、現実とVRの垣根を無くすことが可能。

西川さんが言うには、CESの現場ではデモが豊富にあって、カメラに取り付けてみたり、アメリカ社会らしく銃に取り付けたりと色々な物体をVR空間に取り込むのを実際に体験できたそう。野球コンテンツでは、バットにVive Trackerを取り付けて、バットスイングをトラッキング。ニューヨークヤンキース田中将大投手の配球がプログラムされたVR空間に没入することで、CESの会場に居ながら、マー君と対戦できたそうです。

Vive Deluxe Audio Strap

出典:Vive Deluxe Audio Strap

こちらもHTC VIVEの製品。VIVEから出される初のストラップとのこと。初出しの製品なのに「DELUXE」と付いている理由は、既存のストラップよりも、マジックテープが少なくかつ着脱がしやすいため。従来のストラップは耐久性がなく、製品寿命が短いのが課題でしたが、この製品は非常に強い耐久性を保持し、オペレーターの負担減にも繋がるとみられています。

従来の視覚に頼りがちなVR体験を、より充実したものにするため注目したのが、「聴覚」個人的に、VIVE DELUXE AUDIO STRAPの登場によって、さらなる没入感を味わえるようになるのではと期待しています。

TPCAST


出典:TPCast Vive Wireless Adapter: Our First Take | Digital Trends

これもHTC社の製品になりますが、こちらは主に、Mogura代表取締役社長久保田さんが紹介。接続することでVIVEとの無線通信が可能になるアクセサリ。無線アクセサリは今年の注目製品で、久保田さんも、無線アクセサリの動向には注目しているとのこと。

ただ、現状、CESで出展されていたTPCASTを使ってみると、60GHzというかなり早い周波数だったものの、まだゲームを滑らかに作動させるレベルには至っておらず。作動時間も影響を排除したとしても残念ながら実用的とはいえないレベルだそうです。TPCASTは今後の進化に期待の製品です。

現在日本では未発売。発売要望が高いものの、サードパーティ製の製品なので、今後も発売の見通しは立っていないです。

ハードウェアよりもコンテンツの時代

出典:CES 2017

2016年のVR業界は、各社ハードウェアの開発に躍起になり、熱を帯びていましたが、今年はその熱がやや低下する兆しです。

iPhoneが出た際に、競合他社のハードウェアが量産されたような現象が、2016年のVR業界でも起こりました。2017年のVR業界は、ハードウェア競争が収束後に、コンテンツ競争が始まったiPhoneとやはり同じ流れをたどるのではと読んでいます。VR企業が生き残りを懸けて開発したハードウェアとコンテンツ配信プラットホームとの連携を図り始める1年になるでしょう。

コンテンツプラットフォームをつくることが生き残りの鍵


出典:Welcome to VIVEPORT
HTC VIVEが、2016年10月新たなコンテンツ配信プラットフォーム「VIVEポート」をリリース。2016年中はアメリカのValveを中心にゲームコンテンツが注目を受けていましたが、HTC社の試みによって、ゲーム以外のコンテンツにも脚光を浴びることになりそうです。

「VIVEポート」によって、ゲームのみならず、アート、クリエイティブツール、デザイン、教育、ファッション、ミュージック、スポーツ、トラベル、ビデオなど、あらゆるコンテンツを月額利用・配信可能に。2017年は多様な分野においてVRコンテンツが配信されていくのでは?と予測されます。

巨大コンテンツが面白い

そして、これは広田さんがCESで感じた所感とのことですが、VRと相性が良いのは"巨大な"コンテンツだ!とのこと。非現実的な対象物に対して、圧倒的なリアル感をもって体感できるのはVRならでは。既出ですが、日本のゲームメーカであるカプコンが吉祥寺で、特撮体感VRをリリースしたのが話題になりましたよね。今後もこの流れを汲み、VRと相性の良い、巨大コンテンツはますます勢いを増すでしょう。2017年は巨大コンテンツにも注目です。


出典:特撮体感VR 大怪獣カプドン - カプコン

今年のCESを踏まえて日本のAR/VR業界はどうすべき?

HTC Nippon VIVE事業責任者:西川さん

HTC社の方でも日本のアクセサリやコンテンツを後押ししていきたいと思っているけれど、日本のコンテンツは海外よりも2,3歩遅れているという印象。中国、北米圏、フランスは開発がとても早くて、手を動かしてすぐに形にするスピード感があるんです。今年は日本製品をCESに出展しようと思ってもっていったものの弾かれてしまったのが悔やまれますね。日本の技術者の方には来年のCES出展に向けてぜひとも頑張って欲しいです。

ITジャーナリスト:西田さん

2017年はあらゆるメディアで、必ず、"VR失速"と言われると思う。CESのイベントレポートをみても「VRコンテンツがあまりみられない」との意見があったがそれは間違いだろう。VRの情報は、ローンチのタイミングでニュースになりやすい性質が故に、現状注目度が下がっているのである。つまりVRの業界自体ローンチからビジネスの段階に移ってきているといえる。今後については、VRに使えるパーツが既にクラウド側に乗っかっているので、それをいかに活かすかが重要になってくると考える。

Mogura代表取締役社長:久保田さん

2016年のVRはとりあえず360°で撮ったものをハードウェアでみるだけで止まっていた。2017年はようやく使い道が見えてきてVRで生かせるコンテンツという点にアジャストできるようになるだろう。昨年Gear VRの展示がわずか3ブースしかなかったのが、今年、2階立ての展示で12ブースまで増えたように業界が一年のうちに思いもよらない進化を遂げるだろう。先を読むのは難しい。

CES報告会を聞いた感想

これを書いている私は恥ずかしながら、数日前までCESという見本市の存在すら知らない状態だったので、「今日の話は難しかった」というのが本音。報告会の内容も、専門用語や略語が飛び交い、ぶっちゃけ理解し難かったです。

ただ、時折でてくる動画による製品紹介や実際の会場でのデモ披露を見たときに「おっ・・・・・・VRすげぇ」と素直に感動することが出来て。VRの仕組みや原理など、難しいことは一切わからなくても、直感的に凄さを感じることができたのも本音です。

特に私がすごいと思ったのは、Vive Tracker。現実世界のモノをVRの世界に持ち運べるという技術は、VR素人ながら革新的だなと。早く実用化して欲しい。試してみたいと思いました。今回紹介されたような本当に最先端の技術は、CESのような場所でしか触れられないけれど、ここ最近は、日本でもVRイベントやVR機器自体の貸し出しが、徐々に広まったり、始まりつつあります。まずは、そのような現場に足を運んで、VRの経験値を増やしていけたらいいっすね〜。

文責:小山 慧

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