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VRは家電になり得るのか | 2017年CESから導く”VR家電”の可能性

2017/02/01


今年で50回目を数える、世界最大級の家電見本市Consumer Electronics Show(CES)。メモリアルとなる今年は1月5日〜8日に開催され、革新的かつ先進的な技術を用いた家電の展示で例年以上の盛り上がりを見せました。

VR元年と呼ばれた昨年からVR、またARの展示が増え始め、今年は70社以上が出展。注目度の高さが伺えます。
先日行われたTOKYO VR MEETUPのCES報告会や、ほかメディアで紹介されている展示は、どれも素晴らしいイノベーションを提案している企業ばかりでした。

しかし筆者個人の感想を述べさせて貰えば、まだ日本の一般層が興味を持ち、かつ購買につながっているのはゲームコンテンツのみ。「いずれ大きな成長を遂げる」と言われ続けているVR。業界内ではその確かな気配はあるものの、一般層にはそれほど浸透していないのが現状です。そしてその最も大きな原因となっているのが、デバイスの普及。

私たちはすでに多くのモノを持っており、そしていま周りに溢れているものは10年前にはありませんでした。そしてここにきてのVR。実際の話、一般家庭、あるいは一人一台というような家電としてのVRは需要はあるのでしょうか。

現在のVRはゲームコンテンツが主流


出典:PSVR公式サイト
現在世間的に話題になっているのはやはりゲームコンテンツ。3Dとは比べものにならないほどの革新的な映像体験に人々は心を奪われています。PSVRのウェアラブル端末として一般的に普及するにはまだまだサイズも大きく、また利便性も低いです。

最もVRゲーム機で注目度の高かったPSVRの出荷台数も調査企業SuperDataによる最新の予測では、全世界で約75万台と当初の予測を大幅に下回っており、日本では5万台程度とも言われています。発売前から注目度が高かったPSVRですが、どうしてこのような結果になったのか。

ソニーはVRに力を入れていない?

今回の販売不振は、ソニーの動きとしてPSVRのマーケティングにはそれほど力を入れていないのが原因という見方もあるようです。

ソニーは昨年12月、PS4並びにPS4 Proが全世界で累計実売台数5,000万台を超えたと発表。さらに具体的な記述はありませんでしたが、「プレイステーションだからこそ可能な体験を提供していく」と今後もさらに力を入れる姿勢が見て取れます。
しかしPSVRに関しては「好調」というのみで、具体的な販売台数などの発表は未だなし。にも関わらず国内では依然として売り切れが続いています。

ソニーは"待っている"

この状況をソニーが「力を入れていない」と見るのは簡単ですが、いまはまだVR黎明期。PSVRにとっていまの市場はほとんど敵なしの状態のため、こちらに力を入れるよりもPS4の普及率を上げ、今後VRゲームとしての操作性や特性を確立したコンテンツがリリースされる段階で再度VRのグレードアップを図ると言われています。

いまのところ魅力的なコンテンツが少なく、かつまだVRが浸透していない現時点で投資を図るのは効率的ではなく、ソニーの判断は賢明と言えます。

【参考記事】
SuperData Forecasts 2.6 Million PlayStation VR’s Sold in 2016|VRFocus

「2017年はコンテンツの年」

ゲーム以外のVRを用いたコンテンツの増加

TOKYO VR MEETUPのCES報告会。2017年のVRの動きとしてITジャーナリストの西田宗千佳氏は「コンテンツ数の増加」を挙げていました。
またmoguraVRの編集長すんくぼ氏によると自動車メーカーの展示でもVRを利用した試乗体験ブースが目立ち、盛り上がりを見せていたとのこと。
これまでとは異なったVRコンテンツ制作の動きが活発になっています。

「日本は遅れている」

一方、HTC日本法人の事業責任者の西川美優氏は「中国、北米ではとりあえず手を動かして作っている。このスピード感を日本でも実現し、来年のCESで紹介していきたい」と語り、また海外製のものに比べると日本のコンテンツは「一歩・二歩遅れている」とも。西川氏の言葉には、日本のVRの状況が如実に言い表されています。

鍵となるのは仮想と現実のリンク

AI搭載のスマートスピーカー

今回のCESで多くのメディアが取り上げていたのが、スマートスピーカーと呼ばれる新デバイス。

特に注目されていたのは米Amazon.comがのAmazon Echo。Amazon.comが開発したAIパーソナルアシスタント「Alexa」を搭載し、家のどこからでも音声を認識することができます。
すでに機能の一部に組み込まれていますが、家電のみならず自動車など様々な製品とリンクさせ、このスピーカーに話しかけるだけで操作が可能になる未来を確信させるデバイスです。


中国のLenovoも今年1月、を搭載した「Lenovo Smart Assistant」を発表しており、スマートスピーカーはこの一年でさらに飛躍を遂げるでしょう。

仲立ちとしてのAI

今回のイベントで西田氏は「こうしたAI技術が様々な機器の仲立ちとして利用され、IoTを加速させるだろう」と述べ、この「仲立ちとしてのAI」をどう応用するかによって、今後VRが家電としてスケールアップするための重要な鍵であることを示しています。

さらにVRの世界に現実のものを持ち込む「Merge VR」という言葉も業界内では使われ始めているのも特徴。
HTC Viveでもデバイスに感触を付与するアクセサリーの開発にも力を入れており、VRをさらに現実に近づける動きを活発化。AIを用い、ARとは違った現実とのリンクがVRに期待されているのです。

VRが家電となるためには

私たちがVRと家電をリンクしてイメージしづらい理由として、挙げられるのは主に2つ。
一つ目は、コンテンツがほとんどが受け身であること。目の前に広がる仮想現実を前に、この世界の中でのルールでしか動けないというストレスも筆者は感じています。それはおそらくVRを体験した誰もがそうでしょう。

そして二つ目が日常生活でのVRの必要性を明示できるコンテンツがないこと。
VRは主にゲームやアトラクションなどのエンタメ部門での注目度は高いものの、世間一般には周知されておらず、やはりわかりやすい革新的なVRの活用をコンテンツによって示せていません。

2017年、VRは衰退するというメディアも多いですが、その判断は尚早というもの。たしかにスマホの普及とそのコンテンツは異常なほどの早さで成長を遂げました。そして昨年のVR市場は当初のスマホ市場によく似ていると言われています。しかし私たちがこのスピード感を覚え始めたのはつい最近のことだったように思います。そのスピード感をいまのVR黎明期とリンクさせて考えるのも無理があるのではないでしょうか。

今年、すでに新たなデバイス・コンテンツが続々と発表されています。飛躍的なイノベーションを遂げることは十分予想できること。
私たちの仮想が現実となる日はすぐ近くまでやってきています。

(文責・VRtech編集部)

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