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介護・福祉業界で実用されているVRサービス

2017/04/03

ゲームやアプリなどのエンターテイメントの分野で注目されているVR(Virtual Reality)ですが、最近は、介護・福祉現場でも使用されてきています。

今回は介護・福祉の現場でVRがどういう役割を果たしているのか、具体例を挙げてご紹介していきます。

VRを知っている前提で紹介していくので、VRがどういった技術かが分からない方は、まず下記の記事から読むことをおすすめします。最先端技術のVRとARについて分かり易く解説しております。
↓↓
【わかりやすく解説!】いま知っておくべき「AR」と「VR」の違い

介護・福祉とVRは相性が良い

まずはじめに、介護・福祉とVRに全く接点と感じない方のために、相性はどうなのかという点で説明します。

最初に結論から言いますが介護・福祉とVRは相性がとても良いです。

相性が良い理由として、介護・福祉の現場は予想できない出来事の連続なので、仮想現実でのデモンストレーションがミスの削減に繋がります。介護従事者は繊細な仕事を求められます。特に、精神障害や知的障害、また認知症などの脳の機能障害を抱える方の気持ちは中々汲み取ることができません。

VRの技術を駆使すれば、そういった理解に苦しむ病気の方を介護する際に、要介護者の立場から理解していくことが可能です。

VRは、要介護者にも、そして介護従事者にも良い事をもたらしてくれると期待されています。

介護・福祉で使われているVRサービス

介護・福祉の現場では、すでにVRが活躍しています。

体が不自由な方に価値を提供するものや介護が必要な方の症例を実際に体験できるものなどがありますが、大別すると【要介護者向け】と【介護従事者向け】のVRサービスがほとんどを占めていると言って良いでしょう。

以下では、具体的にサービスを紹介していきます。

【要介護者向け】旅行の擬似体験

まずはじめに紹介するのは、旅行の擬似体験を可能にするサービス。
何らかの問題から介護が必要になってしまったアクティブシニアを対象にサービスを提供しています。

旅行の擬似体験や花見体験、また介護当事者にとって懐かしい映像をVRで擬似体験してもらうことによって、リハビリのモチベーションを維持・向上させる目論見です。

外出が困難な要介護者にとってこれほど嬉しいサービスはないのではと忖度します。
開発者の方は素晴らしいですね。お名前は登嶋健太さん。使用している動画は全て戸嶋さん自身が要介護者の方々の要望に応えて撮影に出向いているそうです。

登嶋さんは「その場にいるようなVR映像でお年寄りに海外旅行体験を」という考えからクラウドファウンディングに乗り出した経験もあります。

【介護従事者向け】認知症体験

こちらは株式会社シルバーウッドが提供するサービス。

認知症患者の症状を擬似体験できるものになっています。
シチュエーションは電車の中になっており、久しぶりに乗った電車の中で「ここはどこですか?」と戸惑う心情を、VRの映像に投影しています。
日常の何でもない行動にさえ不安を覚えてしまうのが認知症の症状。

認知症に罹っていない人に、認知症患者の方がどのような事を感じているのかを伝えるのがサービスの目的です。

介護従事者にとって、認知症体験ができるのは大変貴重。
認知症患者の感情を推し量って仕事に生かせるのはこれまでにない画期的なサービスです。

【介護従事者向け】幻視体験

こちらも株式会社シルバーウッドが提供するサービスです。
幻視体験のサービスの説明は動画の03:58から始まります。

認知症の中には幻視を見る疾患が多いと言われています。
幻視を体験することによって、介護に携わる方に認知症への正しい理解を促すことに繋がります。

幻視体験をした被験者は「わーっ!」「きゃー!」と悲鳴をあげるのが大多数。健常者にとって、幻視はそれほどまでに怖いものです。
幻視の症状を持つ要介護者はそれを日常的に体感しています。

実際に体験することで、要介護者の抱える問題が初めて浮き彫りになります。
介護従事者は是非とも体験しておきたいサービスです。

【介護従事者向け】認知症・アルツハイマー病を体験

こちらはイギリスで開発されたアプリ「A Walk Through Dementia
Google Play Storeから無料ダウンロードすることで、認知症・アルツハイマー病のリアルな体験が可能になっています。

ショッピングやお茶の準備といった日常の一部を切り取ってVRに投影しているので、当たり前が出来ない辛さは胸が痛いほど伝わってくるはず。イギリスで開発されたこともあり、現状は英語版しかないものの視覚からでも十分に意味を汲み取れるので是非体験してください。

【介護従事者向け】介護訓練を体験

最後に紹介するのは、株式会社スリーディーと豊橋技術科学大学機械工学系システム制御研究室が共同研究・開発しているサービス。介護の際に必要なベットから車椅子への移乗をリアルに体験できるという画期的なVRシステムを作り上げています。

被験者にはOculus RiftとKinectを装着し、動きをトラッキングします。そしてその動きがKinectによって、VR空間に反映される仕様になっています。

現状は、VR空間の要介護者に接触した際の触感や重さを伝えるシステムが適用されていないため、どのような手順で、どこを持って移動させるかを学ぶ程度に止まっていますが、近い将来には腕に装置をつけることで重量を感じながらのリアルな介護体験が実現しそうです。

まとめ

介護・福祉業界で使われているVRサービスを見てきましたが、現状では介護従事者向けのサービスが多いという印象です。

これからは高齢者が増え、介護の必要性が高まる一方です。
だれしもが何らかの形で介護に携わる世の中になると予見されます。

VRという先端技術を通じて、介護従事者の病気への理解の深化、要介護者の生活の質の向上、世間の介護への理解の浸透と、良い方向に向かうことを祈ります。

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